会社設立する方必見!起業・独立開業の初期費用として必要になる予算はいくら?
現在会社設立を計画している方、あるいは今後その予定の方が最も気になるのは会社設立にかかる初期費用でしょう。
起業して会社を立ち上げ、事業を安定させるまでにどのくらいの予算を見込んでおけば良いのでしょうか。
業種・業態によって違う初期費用
会社設立にかかる初期費用は業種・業態によって大きく変わります。
製造業は特に大きな初期費用が必要で、事務所・工場の賃借料、設備投資、人件費など、開業当初から多額の費用が必要になります。
また、製造のための仕入れの費用も馬鹿になりません。
筆者のクライアントで、工作機械のメーカーを立ち上げた人がいます。
ある地方中核都市で20坪程度の工場兼事務所を賃借し、従業員2名を雇用して会社を立ち上げました。
当初の計画では予算1,500万円でスタートしましたが、創業から思わぬ出費が相次ぎ、創業二年目までに3,000万円の追加の運転資金が必要になりました。
規模にもよりますが、製造業の場合、設備投資全体の減価償却費と当初の仕入れにかかる費用、さらに家賃や人件費などのコストの最低1年分位は見ておく必要があると思います。
仕入れが伴う仕事は費用も多めに
また、仕入れが伴う仕事も比較的多額の費用が必要になります。筆者の別のクライアントで、アマゾンでネット通販をしている人がいます。
その人は、アメリカのアマゾンから物を大量に仕入れて日本のアマゾンで転売しているのですが、仕入れをすればするほど仕入れ資金が必要になります。
日本のアマゾンで転売するまでに最低1か月かかり、さらにアマゾンから入金されるまでにさらに数週間かかるので、物を仕入れてから売上のお金を手にするまでに1.5ヶ月程度かかります。さらに、その間の人件費や家賃などの費用も支払う必要があります。
このように、小売業のように仕入れが伴う仕事も先にそれなりの運転資金が必要になります。
このアマゾンのネット通販のケースでは、月間売り上げの半年分と、人件費・固定費の半年分の合計を当初の初期費用として計画に盛り込んでいました。
初期費用が比較的少ないサービス業
一方、サービス業は比較的初期投資が抑えられる業種です。特に設備投資がいらないIT系やコンサルティング系の仕事は初期費用がそれほどかかりません。
弁護士や税理士といったいわゆるサムライ業の仕事も同様に初期費用が必要ないでしょう。
こうした仕事を始めるのであれば、当初の人件費と事務所の家賃を、収支が安定すると予想されるまでの期間分用意しておけばOKでしょう。
事務所なども、当初はシェアオフィスやレンタルオフィスなどを利用すれば、多額の家賃を支払う必要もありません。
アメリカのスタートアップ企業の例
ところで、アメリカにYコンビネーターというアクセラレーター企業があります。
アクセラレーターとは、設立間もないスタートアップ企業に投資して転売して儲ける企業ですが、そのYコンビネーターは、年に二回、審査を通過した各種のスタートアップ企業に投資をしています。
Yコンビネーターは、スタートアップ企業に資金調達のポイントをアドバイスしていますが、設立間もないスタートアップ企業は「出来るだけたくさんの資金を調達すること」とした上で、当初必要となる月間費用の18か月分を調達するようにアドバイスしています。
つまり、開発費、人件費、家賃などにかかる月間費用が100万円だとしたら、最低1,800万円は集めろと言うのです。
これは、何百というスタートアップ企業に投資してきた彼らなりの経験から得られた感覚的な実数値であると思われます。私も、Yコンビネーターのこの数字には、かなりの信憑性があると思っています。
基本はリーンスタートアップ
アメリカでは、起業するに際してリーンスタートアップ(Lean Startup)という考え方があります。
リーンとはスリムであるという意味ですが、会社や事業を立ち上げるに際し、出来るだけスリムに立ち上げようという考え方です。
起業当初から多額のお金を集め、人も大々的に採用して陣容を整え、事務所も一等地に借りて派手に事業を開始するのではなく、出来るだけお金をかけずに起業しようというものです。
結局のところ、会社設立の初期費用として必要になる予算は、業種・業態と事業規模、そして、起業するにあたっての経営者の考え方で決まります。
華々しく、大々的に起業したいというのであればそれなりにお金がかかりますし、出来るだけつつましく、質素に起業するというのであれば初期費用はそれなりに抑えられるでしょう。
いずれにせよ、コンサルタントとして私がおすすめしているのは、起業してから収支が均衡すると予想されるまでの期間の運転資金を二倍した金額を予算として用意しておく事です。
実際は、予定よりも前倒しして収支均衡するケースもありますし、逆に予定を超過しても収支が均衡しないケースもあります。どっちに転ぶにせよ、手元の資金にある程度余裕があれば、追加の資金調達などの対応もしやすくなります。
起業に際しては予算に余裕を持たせ、ゆとりをもって経営されることをお勧めいたします。
出典:
2013年度新規開業実態調査 – 日本政策金融公庫
A Guide to Seed Fundraising
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