転職は成功ばかりではない。会計士が転職に失敗した…と思う瞬間5選
転職活動を始めるときは成功を思い描いて希望に満ちている方が多いですよね。まさか、自分が失敗するかもしれないことを想定できている人はほとんどいないはずです。
思い描いていなかった失敗を引き寄せないためにも、知っておきたい「会計士が転職に失敗した…」と思った瞬間5選をご紹介します。せっかくがんばって公認会計士の資格を取ったのに、転職で失敗してしまってはもったいないですよね。自分が計画したキャリアを順調に進んでいくためにも、ぜひ参考にしてみてください。
会計士の主な転職先4つ
会計士が主に転職先として選ぶ企業は、大きく分けて4種類あります。それぞれの特徴と、仕事内容についてご紹介していきます。
監査法人
企業の期末・半期の決算に合わせて監査業務を行う仕事です。同じ監査法人であっても、企業の大きさによって業務範囲や業務の専門性も大きく変わってきます。大手の場合多くは分業制になっているため、監査業務の一部分を専門的に行うことが多く、中小になってくるとひとりで行う仕事の範囲が広くなる傾向にあります。
会計事務所
企業の会計業務、税務業務、財務・経営コンサルティングなどを主に行っていきます。こちらも事務所の大きさによって、大きく業務範囲が異なります。大手の場合はコンサルティングなどを行い、M&A・事業計画の提案にあたる場合も多いです。
中小の事務所の場合は、企業会計と税務業務がメインになります。自分がどちらの働き方を求めているか、よくイメージすることが大切です。
コンサル
主に、財務系コンサルティング会社に勤めることが多くなる会計士の転職。会計士としてもっている会計・税務という守りの知識と、マーケティングという攻めの知識を組み合わせて企業をコンサルティングしていきます。クライアントにより深く踏み込む仕事が特徴です。
事業会社
会計士が転職する場合は、事業会社の事業企画・財務・経理などのポストに着任することが多いです。部署によってかなり仕事内容は異なりますが、自分の会社に対して会計や税務、マーケティングなどの知識を使って貢献します。
他の3つの仕事は大多数のクライアントに対して仕事を行いますが、事業会社の場合は1社に勤めていくスタイルなのが大きな違いです。会計士が転職先選定をするときは、この4つの中から選ぶことが多い傾向があります。あなたは現時点でどの企業群に入社しようと考えていますか?
上記の内容を見て、自分の適性と合っているかどうかも含めて必要があれば検討し直してみてください。
転職に失敗した…と思う瞬間の例5選をご紹介
もちろん会計士だけでなく「一般企業に勤めている方も同じように転職に失敗してしまった…」という経験がある方もいるはずです。しかし、特に会計士は専門職でもあるため、一般企業とは異なる部分があるのは確かです。
そのため、転職によって初めて知ることが多いケースもあるのです。「転職に失敗した…」と思う瞬間の例5選を「なぜ失敗してしまうのか?」という観点も含めて5つにまとめましたので、ぜひ転職先を決める前に参考にしてみてください。(※これは実際の話ではなく、よくあるシチュエーションをまとめたものです。)
1.募集背景を調べずに入社。こんな状況だったのか…
大手の会計事務所から、より密接に企業と関われる中小の会計事務所に転職をしたAさん。とても条件のよい会社で、給与もこれまでの金額を保証してくれるという破格の待遇をしてくれました。
そのため転職先をこちらに決定しました。実際に入社すると2カ月でバタバタと人が辞めていってしまい、その方々の分の仕事をAさんが担当することになってしまったのです。ライフスタイルとして「少し時間に余裕をもって仕事に取り組みたい」と考えていたAさんですが、それが一切叶わなくなってしまいました。
「これまでの金額を保証してくれるという破格の待遇もこのためだったのか」と思わざるを得ない状況になりました。なぜこのような状況が起きたかというと、最初に募集背景を確認しなかったからだといえます。会計事務所は基本的に欠員で人員募集をかけるため、募集がかかっていれば欠員分を埋めるということを想定する考え方が必要です。
何人分の穴埋めを自分がしなければならないのかを考え、「業務量がこのくらいになるだろう」ということを自分で想定しましょう。採用する側は、自分に不利になるようなことを言わずに採用することがあります。転職を失敗させないためには、転職を決める前にきちんと確認をして、どのような募集背景なのかということを自分で把握しておくことが大切です。
2.性善説で即決しすぎた。入社してから急転直下…
監査法人で働いていたBさんは、もっとクライアントに関わる仕事がしたいと考えて転職を検討しました。ベンチャー企業で成長の著しいところを選び、事業企画担当として転職しました。
ところが入社してからすぐに事業企画に入るには、「数カ月財務で働いてみてほしい」といわれ、数カ月働いて会社の実情を把握することになりました。2カ月が経って、上司に「そろそろ異動するはずだ」と話をしたところ、「最初から財務の人材と聞いている」という返答をされたのです。
人事に確認してみると、「事業企画担当としての勤務が決まっていたわけではなく、ジョブローテーションをする中で決めていくという話になっていた」といわれてしまいました。
てっきり事業企画で事業運営に携われると考えていたBさんは、急転直下財務の仕事で働くことになってしまったのです。
確かに転職活動をしている際に、「人事が事業企画で採用できるように動いてみる」と言ったことを確定したと思ってしまっていたのです。その後も確定した前提で話を進めていってしまい、最終的な確認を怠ったのが失敗の原因です。
企業側も欲しい人材に期待をもってもらうために、さまざまなメリットは伝えてきますが、デメリットを伝えてくる企業は非常に少ないです。性善説で「こうなるだろう」と楽観的に考えるのではなく、性悪説で考え最終確認を怠らないことが転職成功への近道です。
3.成長できる!と思って入社。こんなに求められることが多いとは…
監査法人でM&Aや事業計画などに携わってきたCさんは、留学からブランクのあった英語に磨きをかけて外資系の財務コンサルティング会社に転職を果たしました。かねてから憧れていた職業でもありましたし、監査法人経験しかない状態でもさまざまな業務を経験させてもらっていたことから、より幅広い知識を身につけたいと考えたのです。
今後はクライアントの経営改善を図っていきたいと考えて、転職を決めました。しかし実際に入社してみると英語力は到底追いつかず、英語+マーケティングの知識がなければコンサルティングできない難しい案件ばかりで全く歯が立ちません。
努力をすべく毎日2時間の睡眠でさまざまな知識を身につけてきました。しかし、なかなか思うような成果が出せず、契約も不安定な状態になってしまいました。憧れて入った企業でも、このような事態が起きる可能性もあります。
Cさんの敗因は、自分のスキルと企業が求めるスキルの差が、どのくらい開いているのかを把握せずに入社してしまったことです。自分がそのスキルを身につけるには、段階的にどういうステップを踏むべきなのか、ということもキャリアプランの中で考えて無理のないプランを練るようにしましょう。
4.代表としか話さず入社。現場の温度感が違った…
大手の会計事務所で働いていましたが自分の力をもっと試したいということで、転職を検討したDさん。中堅企業会社の事業企画兼財務という形で、異例の採用をしてもらいました。代表からは非常に期待感をもって話をもらっていたことから、自分のキャリアをより強固なものにできそうと考えて転職を決意しました。
しかし実際勤め始めてみると、現場は新しい役職を作るよりも現場の改善を図ってほしいという不満が噴出している状態でした。結局Dさんも現在の火消しを行う業務で手一杯で財務の仕事しかできません。入社前に思い描いていたような事業企画と財務をかけ合わせたハイブリッドな仕事はできずにいる毎日です。
この転職でDさんが失敗してしまった原因としては、代表とだけしか話していなかったこと。代表は夢を描き推進していくのが仕事です。Dさんに話してくれた内容はすぐに叶うプランかもしれませんし、10年先に実現することかもしれません。
代表自身は計画が変動的になることは想定範囲内と考えているので、言っていることが実現する時期については確認をすることが必要です。代表だけと話してしまうと、ビジョンやゴールといった大きな話になってしまう可能性が高いため、現場と大きく乖離してしまいます。実際に働く現場のことを知るために、現場の方とお話する機会を設けてもらうのがおすすめです。
5.仕事をイメージしたつもりで入社。会社ステージでこんなにも変わるのか…
中小の会計事務所から大手の監査法人に転職を検討し、英語力や経験のアピールをしたことで無事転職を決めたEさん。年収も大幅にアップしてやりたい仕事にも就け、大満足の転職を果たしました。しかし実際に働いてみると、自分のイメージとは大きくかけ離れた仕事が待っていたのです。
大手の監査法人であれば取引先企業も非常に多く、自分がメインでクライアントに関わる業務ができるようになると思っていました。しかし実際はスムーズな運営のために細部まで分業設計されており、自分が思い描いていたメインの仕事はできない状態でした。
年収や働く条件面では非常に満足のいく職場ではありましたが、自分のキャリアプランに描いていた、個人のスキルアップと幅広い業務という夢は叶っていません。Eさんが失敗してしまった原因としては、仕事内容と会社ステージの掛け合わせで働き方が変わることを理解できていないことにありました。
大手の場合はスムーズに監査業務をやっていくため、分業しているところがほとんどです。監査の一部門の専門性は上がりますが、他の知識をつけることができません。監査業務ができても、Eさんが思い描くような企業を担当するアドバイザリー業務は、財務会計知識以外にマーケティング知識をつけることができない場合、その職に就くことは難しいです。
中小の場合の方が、より裁量のある仕事を1人で担当することができる傾向があります。中小企業で働く方が、Eさんの求める働き方に近かったということを知らなかったのが敗因です。
このように本人の捉え違いや情報不足、性善説すぎる視点で物事を見ることで、自分の転職を失敗させてしまうことを知っておき、入社を決める前に見直しができるようにしておくことが重要です。
まとめ
難しい試験を通過した会計士の方でも、気が付かずに陥ってしまう転職に失敗した…と感じる瞬間5選をご紹介しました。実際入社してみないとわからない失敗もありますが、自分の注意で防げる失敗も数多くあります。
自分が転職先を選ぶときにどのようなポイントを注意しておくべきか、どこを見逃しがちなのかなど、特性を知っておくことで転職の失敗を防ぐことができるはずです。ぜひ参考にして、あなたの大事なキャリアを理想の形に積み上げていってください。
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