会社設立を目指す方必見!独立開業・起業する際に知っておきたい適正な資本金額の決め方 | 会社設立・独立支援情報メディア KIGYO+(起業プラス)

会社設立を目指す方必見!独立開業・起業する際に知っておきたい適正な資本金額の決め方


起業するに際し、適正な資本金額はどのように決めれば良いのでしょうか。そもそも資本金とは何か、資本金の基本も含めて改めて解説します。

資本金とは何か?

オックスフォード辞典によると、資本金(Capital)とは「お金または他の資産により構成される富で、人や組織によって所有され、会社を立ち上げたり、投資する目的で利用されるもの」です。
資本金には富としての性質と、会社の所有権を表する証券としての性質と、投資先としての、三つの基本的な性質があります。

資本金はまた、会社を立ち上げる時の運転資金としての性質も持ちます。
会社や事業を立ち上げる際は、創業者やその周辺の人が自己資金を投じるケースが多いですが、多くの場合、投じる資金は資本金として計上します。

ところで、平成18年に現在の会社法が施行され最低資本金制度が撤廃されたため、現在は資本金の額を自由に決められます。
平成18年以前は株式会社であれば最低1,000万円の資本金を集める必要がありましたが、今は資本金1円でも株式会社の設立が可能です。

資本金が大きいと会社の規模もそれなりに大きいというイメージは今も残っており、その意味で、資本金は会社の規模をイメージさせる指標のような性質も持っているとも言えるでしょう。

エクイティファイナンス対デットファイナンス

資本金はまた、資金調達の手段としての機能も持ちます。企業が資金を調達する方法は大きく分けて二つあります。
資本による調達と、借入による調達です。厳密に言うと、両者を組み合わせたような資金調達方法もあることはありますが、ここでは言及しません。
なお、ファイナンスの世界では前者をエクイティファイナンス(Equity Finance)、後者をデットファイナンス(Debt Finance)と呼びます。

エクイティファイナンスは通常、株式を発行して資金を調達します。調達した分だけ資本金の額が増加します。
一般的に、エクイティファイナンスで調達した資金は返済する必要がありません。

一方、デットファイナンスで資金を調達した場合、資本金の額は変わらず、バランスシートでは借入金の額が増加します。
資本金の額が変わらないため、会社の経営権には影響を与えません。また、デットファイナンスで調達した資金は返済する必要があります。

起業に必要なお金はいくらか?

起業に際して資本金額を決めるためにまず決めなければならないのは、起業に必要なお金の額です。
会社の設立費用を始め、仕入れにかかる費用、人件費や家賃といった、当座必要となるお金の額です。

私がお勧めしているのは、起業に際しては、会社を立ち上げてから収支が安定するまでに必要な資金の二倍の金額を用意する事です。
その程度の資金があれば、余裕をもって会社立上げに専念出来ます。

仮に、毎月必要な費用が100万円で、収支を安定させるまでに10か月かかると見込むのであれば、2,000万円を用意して起業するというイメージです。
そして、そのお金をどのように調達するかを検討するのです。

エクイティファイナンス対デットファイナンス再び

起業に必要なお金、上の例では2,000万円ですが、それをどのように調達するかが次のポイントです。
あなたが2,000万円をお持ちで、それを会社に投じてもいいというのであれば話は一番シンプルです。その場合、会社の資本金は2,000万円で、株主はあなた一人です。

一方、手元のお金が1,000万円しかなく、別の1,000万円をどこかから調達する必要がある場合はどうでしょうか。
政策金融公庫に借入を申し込んで、借入が出来た場合も簡単です。その場合、資本金は1,000万円で、株主はあなた一人です。

しかし、上のケースで借入が出来ない場合はどうでしょう?その場合、借入ではなくエクイティファイナンスで調達することになったとします。
友人の一人に同じ株価で出資してもらった場合、資本金は2,000万円で、株主はあなたと友人の二人、出資比率は50:50です。

他人の出資比率は出来るだけ小さく

起業に際しての理想的な資金調達は、株の自分の持ち分を最大化し、かつ自己資本比率を最小化する事です。
資本金100万円で株主は自分だけ、残りの1,900万円は長期の借入でまかなうなど出来たら非常に効率的です。

しかし、現実にはなかなかそのような話は転がっていないでしょう。よって、起業家の立場としては、起業に必要なお金の総額をある程度把握し、株の自分の持ち分を最大化し、かつ他人の出資比率を出来るだけ小さくする方向で資金調達スキームを練って行くのがポイントでしょう。

アメリカのアクセラレーター企業のYコンビネーターは、全てのスタートアップ企業に対し、エンジェルやベンチャーキャピタルなどの第三者の投資家の出資比率を、特にスタートアップ期間においては20%以下にするようにとアドバイスしています。

起業の最初のフェーズで第三者に大きな持ち分を与えてしまうと、後の資金調達ラウンドで足かせになる可能性が高く、資金調達そのものを難しくさせるからです。
起業時に第三者からの出資を検討している方は、くれぐれも注意していただきたいと思います。

出典:
capital | Definition of capital in English by Oxford Dictionaries


この記事を書いた人

前田 健二

ジャパンコンサルティング代表 前田健二

2001年より新規事業立ち上げ、マーケティングのコンサルティングを行っている。アメリカのIT、3Dプリンター、ロボット、ドローン、医療などのニュービジネス事情に詳しく、現地の人脈・ネットワークから情報を収集している。アメリカのベストセラー「インバウンド・マーケティング」翻訳者

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