経営者だけどいまさら聞けない!起業初心者でもすぐに分かる確定申告の基本
春が近くなると、やたらテレビで「確定申告を忘れずに!」という声が聞こえてきますよね。SNSなどでも「確定申告終わりました!」という投稿を目にする機会が増えます。ついこの間までは私にとっては他人事だったけど、経営者となった今、そのすべてを自分でやらないといけない!
でも…正直にいうと、何のことだかさっぱりわかっていない!というあなたのために小学校6年生でも分かる確定申告の基本から説明します。
確定申告をよく分かっていないのはあなただけではありません!
実は確定申告のことは全く知らないという人は結構周りにいます。みんな知ったかぶりしているだけかもしれませんね。なぜなら会社に雇用されている人は確定申告を自分でする必要がないからです。全て事務や経理の方がやってくれています。だから起業して経営者にならないと自分でやるという機会がないのです。
お金の教育はほとんどしない日本の学校
日本の学校ではお金の教育はほとんど行われていません。いや、むしろタブーです。それに対して欧米では子供のころからお金の教育は盛んに行われており、経営者の感覚を子供のころから身に付けやすい環境がそろっていると言われています。
だから確定申告をはじめお金の知識が乏しいのはきっとあなただけではありません。必要に駆られて学び始めている人がほとんどなのです。今日があなたの学び始める日です。
確定申告は人を雇ってやってもらったらいい?
実は確定申告のことってよく分からないから税理士に頼んでやってもらおうと思っている・・・という人もいます。はっきり言いますが、お勧めしません。いずれ事業拡大などで忙しくなって手が廻らなくなったりした時ならまだしも、創業したばかりの時は自分で現状を把握するためにも自分で行うべきです。
そもそもよく分からないまま、大切な金銭管理を人に任せることは大変危険です。大切な売上金を横領されても気が付けないということになりかねませんので、最初の一歩は自分で踏み出しましょう。
確定申告はあなたが払うべき税金を正しく計算するための作業
国民には「税金」を納める義務があります。集めた税金は警察や消防、道路や水道の整備などの公共事業、医療や福祉、教育に使われます。つまり国全体が安全に平和に継続していくためにみんなでお金を出し合って負担するのが税金なのです。確定申告とはその税金を正しく計算するための作業に当たります。
私たちが納めるべき税金の種類
税金は大きく二つに分けられます。国に収める「国税」と都道府県や市町村に納める「地方税」です。その年の所得に課税されるのが「国税」で、前年の所得に対して課税されるのが「地方税」です。確定申告で扱う税金は「国税」の中の「所得税」に当たります。
会社員時代の「年末調整」ってなんだったのでしょう?
ちょっと会社員時代のことを思い出してみましょう。会社員だった頃、聞いたことがあるであろう「年末調整」は「確定申告」と同じ作業です。「年末調整」は事務から書類が回ってきて、言われるままに住所、氏名、保険の金額を記入して印鑑をして提出するだけでしたね。
会社員の頃は基本的に収入が「給与所得」のみです。その給与所得は会社が税金を差しい引いた額になっています。その差し引かれた税金は金額に応じたパーセンテージで自動的に計算されています。
しかし生命保険などの所得から控除(※1)される額は人や家庭によって違いますので、本来支払うべき税金も人によって異なるのです。その本来支払うべき金額を一年分まとめて調整するのが「年末調整」だったというわけです。
※1 控除・・・差し引くこと。所得控除・・・税金が課される対象にならない所得・収入のこと
「年末調整」と「確定申告」は同じ?
話を「確定申告」に戻しましょう。起業し、経営者になると、事務の人が今までやってくれていた年末調整を自分でやらなくてはならなくなります。「年末調整」と「確定申告」の違いは、収入源の数が異なることです。会社員の収入源は会社一つだけですが、起業すると取引先がいくつも出来て収入源が複数になることがほとんどです。
よって自分で稼いだ金額を集計し、経費(※2)と様々な控除を引いた金額を計算して税務署に申告します。その金額に所得税がかかるのです。確定申告とは税金を正しく計算するための作業だったのです。
※2経費・・・会社を運営するために必要な資金。課税されない。
確定申告に必要な「経費」って何だろう?
何となく「確定申告」の全体像が見えてきたでしょうか。「やっぱり面倒だな~」と思ったでしょうか。でもこの計算をしっかりすることで税金を節約することが可能になります。鍵は「経費」です。
会社員時代に出張など自分で交通費を立て替えたりすると「経費で計上するからあとで書類を出してください」と言われたことはありませんでしたか?「経費」とは会社を運営する上で必要な出費のことです。経費には課税されません。所得税は全体の売り上げから経費と各種控除を差し引いた金額に課される税金です。
全体の売り上げ-経費=事業所得(会社の純粋な売り上げ)
事業所得-各種控除=課税所得(税金が課される金額)
つまり、経費が多ければその分、純粋な利益が減るので課税対象となる金額も減ることになり、節税に繋がるというわけです。「だったら何でもかんでも経費にしてしまえばいいの?」と思われるかもしれませんが、きちんと事業に使った金額であると証明できなくてはいけません。
その証明に必要なものはレシートや領収書です。開業し、経営者・事業者となったら日々、事業の運営上必要な出費はレシートや領収書を取って保管しておき、万が一調査が入った場合はきちんと証明できるようにしておくことが事業者の大切な仕事になります。
事業者なら特典のある青色申告をしよう
確定申告には二種類の用紙があります。ひとつは白色申告、もうひとつは事業者がこれから使う青色申告です。事業者であれば青色申告ですが、青色申告するには事前に「開業届」と一緒に「青色申告承認申請書」を税務署に提出しておく必要があります。
青色申告は65万円の「青色申告特別控除」が認められているのでお得なのです。これをわかりやすい言葉でいうと、無条件で経費を65万円多く認められるということです。他にも赤字を3年間繰り越せるメリットもありますので何かと設備投資の多い初年度には助かるはずです。
最寄りの税務署で青色申告説明会が開催されていることもあるのでHPなどでチェックしておきましょう。
会計ソフトを導入して少し楽をする
確定申告を理解するためには簿記3級程度の知識があれば経理の基本が理解できるとされています。この機会に勉強するのもいいですね。「そんな時間ないよ!」「でもやっぱり一人でやるにはハードルが高い」という方には会計ソフトを導入することをお勧めします。
月に880円から利用できる見やすい会計ソフトがありますので、使いながら勉強していくというのも良いでしょう。初心者でもわかりやすく、各所に用語解説が付いているなど工夫されています。確定申告シーズンに慌てて資料準備をして時間をとられることもなくなりますよ。
まとめ
- 確定申告とは1月から12月の「売り上げ」から「経費」と「各種控除」を引いた金額に課される所得税を計算した用紙を税務署に提出する作業のこと
- 事業者・経営者になったら日々のレシート、領収書の保管を習慣にする
- 節税は積極的にする。でも申告漏れは罰せられるので正直に記入する!
- 事業者なら特典の多い「青色申告」を選ぶ。
最初はやらなくてはいけないことが沢山ありますが、確定申告は事業者・経営者としてはもっとも大事な仕事のひとつです。最初から人に任せるのではなく、自分で一通り理解できるようになりましょう。息の長い企業になって、日本や多くの人に貢献していける会社に発展していけるように祈っています。
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